doiemonのカルチャーライフ!

気ままなライフスタイル、カルチャーを安全に紹介します。

「ドライブ・マイカー」 わからなさも含めて物語。

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演出家の家福は妻と幸福な日々を送っていたが、突然、妻がくも膜下出血で倒れて
他界する。その日の夜に大事な話をするはずだった家福は遅く帰宅したことを後悔する。同時に家福は眼球に病気を患っていたこともわかる。

 

舞台は2年後に移るのだが、演劇祭の審査員で広島に滞在することになった家福は現地で自身の車を運転するドライバーのみさきを紹介される。聡明で無口な若い女性
最初は拒む家福だが、彼女の心地良い運転に安堵して、話をするようになる。
妻の死を隠そうとするように家福は淡々と仕事をするが、トラブルが起こり、取り乱してしまう。頭を冷やすためにみさきの故郷である北海道まで車を走らせる。
複雑な環境で、過酷な状況からドライバーになったみさきにも語り尽くせないほどの過去があり、車からの景色が変わっていくにつれて深く会話をする。

 

映画としては退屈さが目立つかもしれないが、それがよかったと感じた。
どんなに深く結ばれていても、全てはわからないかもしれない。完全に理解し合うことはできない。そうではなくてわからない部分も愛するということではないだろうか。相思相愛を感じる完璧なタイミングなんてないのかもしれない。多少の違和感も受け入れることで、相手を包み込むのでは。

 

走る車のエンジンの音に耳をすませていると、暗がりの景色が少しずつ晴れていくような映画だった。